〜夏、続行中!
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「あー、暑いデス。暑いったら、暑いデスぅ〜」
「四葉ちゃんったら、そんなに暑い暑い言わないでよ。余計に暑くなるじゃない」
「だって、もう9月デスよ。一体いつまで夏なんデスか今年は」
「私に訊いたって知らないわよ、文句なら夏に言って頂戴」
照りつける太陽の下。
学校からの帰り道。
聞くだけで鬱陶しくなりそうな四葉と咲耶の掛け合いに、兄は苦笑するのみである。
止むを得まい。2学期が始まったというのに、温度計の目盛りは絶賛高止まり中なのだ。
だが、もう一人の連れは、暑さにもメゲずに“げんげん元気”の様子であった。
そんな彼女は、バテバテの四葉や咲耶の言動に、違和感を覚えたようだ。
「ねぇねぇ。四葉ちゃんも、咲耶ちゃんも、夏はキライ?」
雛子が提出した根本的な質問に、四葉と咲耶、苦笑い。
「・・・・・・たった今は、ちょっぴりキライかもデスね・・・・・・」
「夏は好きよ。うーん、でも、そろそろ秋が恋しいかな。ね、お兄様?」
「うん、確かに、こういつまでも、残暑が続くとねぇ」
ギラギラと灼熱の光を注ぎ続ける太陽を、思わず見上げる兄である。
「“ざんしょ”、ってなーに? おにいたま」
その声に応じて、兄の目は雛子に転じられた。
炙られたアスファルトからの照り返しが、痛い。
首筋に、汗が滲む。
「“残暑”ってね、暦の上では秋なのに、まだ夏の暑さが続いているっていうことだよ」
「こよみ、の、上?」
「うん。8月初めの“立秋”から後は、秋ってことになっているんだ」
「なんだか、悪い冗談みたいね、お兄様」
「ああ、本当だね」
咲耶のコメントに、兄も心からの同意を示した。
9月に突入した今でも真夏並みの暑さが続いているというのに、“一ヶ月も前から秋になっています”と言われても、気分が出なくて当然だろう。
「おにいたま、こんなに暑くても、もう秋なの?」
「そう」
「ふーん。よく分かんないけど、ヒナ、“ざんしょ”が続いている間は、夏でいいと思うな」
「フフッ、雛子ちゃんは、夏が終わって欲しくないのね」
妙に感心したような咲耶の言葉に、雛子は得意そうだ。
「うん! ヒナね、夏、だい好きだもん!」
「雛子ちゃん、8月生まれデスもんね」
「そだよ! それにね、夏は、おにいたまや、みんなと、楽しいことが、いーっぱい、できるんだもん! えっとね、海水浴でしょ、お祭りでしょ、花火でしょ」
「それ全部、先月やったじゃない」
「でもでも、ヒナ、まだまだ、みんなと遊びたいんだもん!」
咲耶のツッコミに、雛子が口をとがらせる。
その様子を笑って眺めていた兄だったが、不意に立ち止まったかと思うと、
「・・・・・・そうか!」
「チェキ?!」
「・・・・・・どうしたの、お兄様? 急に大声出したりして」
妹たちを驚かせておきながら、兄は微笑を浮かべている。
「いやね、雛子ちゃんの言う通りだなぁ、と思ってさ」
「ヒナの?」
「うん。何も、急いで秋になってくれなくてもいいんだよ。暦の上でどうだろうと、まだ夏なんだからさ。目一杯、夏を楽しんでいればいいんだ。ね、雛子ちゃん」
「うん!」
我が意を得たりと、大きく頷く雛子。
それに釣り込まれたのか、咲耶と四葉も笑顔を浮かべた。
「うふふ、そういう考えも、あるかもね」
「それで兄チャマ、夏を楽しむって、どうするんデスか?」
「そうだなぁ・・・・・・じゃあ、今週末の休みに、みんなでプールに行くっていうのは、どう?」
「おにいたま、ホント?」
兄の提案に、雛子が目を輝かす。
「でも、お兄様。9月じゃ営業終わっているんじゃない?」
「なぁに、屋内プールなら一年中やっているよ」
「それもそうね。要するに、夏気分で楽しめればいいんですものね」
「うわーい、おにいたまと、みんなと、プールに行けるぅ!」
「きゃっほう!」
喜色満面で跳ね回る雛子。
つい先刻までバテバテだった四葉も、すっかり興奮して、雛子と一緒にクルクル回っている。
「じゃあ私、帰ったら早速、水着の用意をしなくちゃ」
「張り切っているねー、咲耶ちゃん」
「勿論よ。お兄様を悩殺できるチャンスですもの。気合、入れなくちゃ。ねv」
「あ、あはは・・・・・・」
彼らの上空で、太陽も引き続き、張り切っている。
どこまでも晴れた青空の下、賑やかに帰路につく4人だった。
(おわり)
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■:HN:黒鮫建武隊
■:タイトル:「夏、続行中!」
■:コメント:「夏、続行中!」を書きました、黒鮫建武隊です。
お楽しみ頂けましたなら、幸いです。
記録的な暑さとなった今夏、9月に入っても暑さが続いているかどうかは、これを書いている時点では分かりませんが、
待っていれば、そのうち、秋は必ず来ます!
気長に待ちましょう(^^)
■:HP:
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■皆さんからのコメント■
・その場の雰囲気が凄く伝わってきて蝉の鳴き声までも
聞こえてきそうな臨場感でした。
妹達との楽しいひと時、すごく良かったです。
雛可愛い〜。
・ほんわかしていて何となくいいなぁ〜・と思って投票させていただきます。
・毎度のことながらこの兄妹たちを見ているととても和みます。
それこそ、ずっと夏でも良いんじゃないかと思えるほどに(笑
・このコメントをしている時点でも夏は続いているんですが(気温の面で)、
終わり行く夏を楽しもうとしている妹+兄の様子が伝わってきました。
・雛子ちゃんのポジティブさがうまく溶け合っていて楽しんで読めました。
季節に感謝する気持ち…とも言ったらいいのかな?
妹同士の掛け合いも私的にはポイント高しo(^-^)o
私も、よくそうやって「もう秋なのに」って考えてしまいますが、まだ夏でもいいかも…と思うようになりました(^-^)/
・雛の台詞に納得しました!言われてみればそうですよね。
これ書いてる時点でまだまだ暑いですが、こー言う夏なら続いてもいいかなって思いますね★
・ほのぼのしてて良かったです。情景が思い浮かぶ良い作品!
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